当院では木曜日午前中に泌尿器科外来を行っております。泌尿器科にかかられる方は男女を問わず主な症状としては
- 夜中に何度もトイレに起きる
- 急におしっこがしたくなり我慢が難しい
- おしっこの出だしに時間がかかりまた勢いも悪い
- 血尿が出た
- おしっこをするときに痛みがある
- 勃起不全(ED)
- 男性更年期
- 健診での尿検査やPSAの異常
などです。
原因としては前立腺肥大症や過活動膀胱、膀胱炎、結石、悪性腫瘍、泌尿器科疾患以外のことからの影響など多岐にわたります。
また遠方の泌尿器科の病院におかかりの方で今後も診療が必要であるが通院が難しくなった方もお受けします。(例、長期内服薬の継続処方、前立腺がん治療後の経過観察や内分泌治療の注射、CT検査やレントゲン検査を用いるもの、神経因性膀胱の自己導尿、尿道カテーテル交換など、ただし当院には膀胱尿道内視鏡がないので膀胱がんの経過観察はできません。)
以下病気の説明をします。当院では薬物治療が主であり手術が必要なら可能な近隣の病院かご希望の病院に紹介となります。
前立腺肥大症
男性の精液をつくる臓器であり、尿の通り道でもある前立腺が50歳以降にホルモンバランスの影響といわれてますが大きくなり尿の通り道が狭くなる病気です。症状としてはおしっこの出だしが悪い、排尿中も線が細い、症状が進むとした後も残った感じがあるといったことです。勢いの悪さだけでなく夜にトイレに何度も行くことや電車やバスに乗ると途中で我慢しきれなくなくなど膀胱が尿をためる力も落ちてきます。
薬の治療と手術があります。内服薬を使っても症状がよくならない、残尿が非常に多い、尿が詰まって尿を出すためのホース(尿道カテーテル)を入れることになった方は手術の適応です。
過活動膀胱
上述の前立腺肥大症の尿が近い症状とほぼ同じですが過活動膀胱は男女関係なく起こる病気です。一言でいうと『尿をがまんするのがつらい』や『がまんしきれずに漏らしてしまう』ということです。薬物治療をすることが一般的です。薬物治療が全く効果がない方は手術療法(仙骨電気刺激やボツリヌス菌注射)の適応となります。
神経因性膀胱
理由は様々ですが脊髄のけがや病気、脳の病気、骨盤内臓の手術によって自力で排尿ができなくなる状態です。残尿が多い場合は自分で細いチューブを使って尿1日数回排出技術(自己導尿)を覚えていただきます。手が使えれば可能です。重症の前立腺肥大症の方で手術ができない方も尿道カテーテルをずっと入れっぱなしにせずに自己導尿で対応している方もいます。
夜間多尿
若いころは夜トイレに行くことはなかったと思います。しかし年齢とともに内臓機能の低下、睡眠の質の低下、脳のホルモンのバランスが悪くなり就寝中も体がおしっこを作ってしまうことがあります。ひどいと1日の尿が1500ml出たとすれば1000mlが夜という人がいて日中は2回、夜は5回トイレに行くという方もいます。
よく調べたうえになりますがくすりの治療をすると夜に体が尿を作ってしまうのを抑え昼間に持っていくことも可能です。
細菌性膀胱炎
いわゆる膀胱炎です。細菌がおしっこをためる膀胱に感染することで起こる病気で圧倒的に女性に多く、高齢になると男性もなりやすくなります。
症状としてはおしっこするときの違和感、残尿感、頻尿、排尿終わりの痛みです。
抗生物質で速やかに治ることが多いのですが治りが悪いときや年に何度も繰り返すときは他の病気(膀胱がん、膀胱結石、尿管結石、大腸の病気の膀胱への影響)も考えます。
尿管結石
加齢や食事などの影響で腎臓でできた石が腎臓からおしっこの出口のどこかでつまってしまい、痛み(右か左どちらかの腰の鈍い痛みからのたうち回るくらい強い時も)や血尿が出る病気です。小さければ自然に出るのを期待しますがなかなか出ないときや、最初から大きいサイズで自然に出る見込みがないときは手術が適応になります。診断にはレントゲンとCTが有効であり当院でCTは可能です。
悪性腫瘍
泌尿器科であつかう悪性腫瘍=がんは前立腺がん、膀胱がん、腎がんなどがあります。
当院でできるのは健診でPSAが高いといわれ受診した方のその後MRIをとり異常があるかないかの判断です。異常があれば細胞をとる検査=生検が必要ですので他院へ紹介します。
また前立腺がんと診断され何らかの治療後の経過観察やホルモン治療(注射)です。
膀胱内視鏡検査ができないので膀胱がんのフォローはできません。
男性更年期
男性更年期という言葉をご存じでしょうか?更年期というのは女性だけではありません。男性も中年以降に男性ホルモンが徐々に減少していき、精神的症状として不眠、健康観の減少、不安、いらいら、記憶力の低下、性欲の低下があり身体的症状として疲労感、ほてり、発汗、性機能の低下、朝立ちの消失などの症状が出現するときがありますが症状がすべてそろう必要はありません。まず精神科に受診する方もいますがじつは更年期ということもあります。診断は問診票と朝9時~10時にテストステロンという男性ホルモン値を測定することです。ホルモン値の低下が見られれば男性更年期と診断され、身体的な問題(前立腺がんの可能性、肝臓が悪い、腎臓が悪い、多血症、心不全、重度の高血圧、睡眠時無呼吸症候群)がなければ月1-2回程度の注射の適応となります。テストステロンの低下がみられれば保険適用となります。
LOH症候群・男性更年期とは(日本メンズヘルス学会)
https://jsmh.jp/loh/
健診での血尿、蛋白尿
見た目にはふつうのおしっこですが健診で異常を指摘された場合ですが、これはその方の年齢やもともと高血圧、糖尿病などあるかによって調べる範囲が違ってきます。
下図は腎臓学会が出しているガイドラインです。これに沿って検索をすすめていきます。
外来担当医
木曜日:沼田
担当医
沼田 幸作 ぬまた こうさく
副院長
資格・専門医
日本泌尿器科学会認定専門医
がん治療認定医
身体障害者判定医(膀胱直腸障害)
難病指定医(常染色体優性嚢胞腎)
厚生労働省緩和ケア研修会修了